2005年12月26日
人口減と企業の課題
日本の人口が遂に人口減に転じたそうです。
人口、初の自然減に 少子化進み1万人 05年推計05年に生まれる赤ちゃんの数が亡くなった人の数を下回り、日本の人口が自然減に転じる見通しであることが、厚生労働省が22日に公表した人口動態統計の年間推計でわかった。1899(明治32)年に今の形で統計を取り始めてから初めてで1万人減るという。少子化を背景に秒読み段階に入っていた人口の自然減の開始は、今春のインフルエンザ流行の影響で政府予想(中位推計)より1年早まった。
(以下略)
引用サイト:asahi.com
1899 年に統計を取り始めたから初めてということは、近代日本史上初めてということです。そして、今後はさらに減少を続けるということですから、2005 年は日本にとって重大なターニングポイントの年になったことになります。
私自身が少子化という言葉を意識したのは「1.57 ショック」という言葉がメディアをにぎわした 15 年ほど前です。出生率が 1.57 まで下がったということで当時はかなりの騒ぎだったのですが、2004 年の出生率は 1.29 まで下がっていました。
原因についてはいろいろなところで議論されているのでここではくわしく言及しませんが、私自身の経験も踏まえて実感するのは、「子育て環境の未整備」という問題です。そのために出産が遅れたり、二人目を生むことを躊躇するケースが多くなっているようです。
オフィスワークにおいては女性は既に貴重な戦力です。シーブレインのような業務においては、女性の方が適性のある職種も少なくありません。細部までこだわる極めの細やかさと、最後まで仕上げる根気強さがあります(こういうジェンダーを意識させる表現はよくないらしいですが)。実際、シーブレインの社員は女性の方が多いです。
そんな女性たちに会社としては長く働いてもらいたいし、本人たちにも働く意志があるのですが、それができなくなるのは「子育て」が始まるときです。子育てのために、女性(母親)は家庭を離れることができなくなります。それは、核家族化によって他に頼る人がいない、保育園など子供を預けられる施設が不十分、などが原因でしょう。いずれにせよ、子供を産んで育てるということは、一定期間であれ、仕事とのトレードオフの状態にあるということです。
他にも少子化の原因は諸々あるのでしょうが、仕事中でも子供を安心して預けられる環境があれば、だいぶ変わってくるのではないでしょうか。そのために考えられる一つの案として、企業が託児施設を用意することがあります。朝子供を連れて出社して、オフィスの近くの託児施設に預ける。昼休みなどにちょっと様子を見ることもでき、帰りには一緒に帰る。自分が働いているすぐ近くに子供がいるという安心感は、子育てと仕事を両立するうえで非常に大きいと思います。
これはまったくの私見であり、会社として具体的に議論したことがあるわけではありません。簡単に俎上に載せられない、企業にとっては非常に負担の大きなむずかしい課題です。ただ、子供を産んで育てるということと、仕事を続けるということがトレードオフの状況というのは、健全とは思えません。どちらも両立できるしくみを考えるのは、国や自治体などの官だけではなく、その必要性を最も感じている企業の課題ではないかと思っています。