2006年1月27日
コンプライアンス
また企業のモラルを問われるなさけない事件が発生しました。
東横イン、二重図面で偽造工事 条例違反の状態ビジネスホテルチェーン大手「東横イン」(東京都大田区)が、横浜市に今月オープンしたホテル建設をめぐり、法律や市条例で義務づけられている身障者用設備や駐車場を設けた建物をいったん建てながら、市などの完了検査直後にこれらの設備を撤去・改造する工事をして開業していたことがわかった。撤去前の設計でなければ、建築確認はおりなかった。朝日新聞社は、建築確認時の設計を示す図面と改造用の2種類の図面を入手。東横イン側は取材に対し「昨年夏ごろから改造を計画していた」と、偽装工事だったことを認め、改造前の状態に戻す工事をする意向を示した。
(以下略)
引用サイト:asahi.com
該当のホテルは「東横イン・横浜日本大通り駅日銀前」で、シーブレインから歩いて 10 分ほどの場所にあります。今月 23 日にオープンしたばかりで、オープン前に割引券が配られていたのでよく憶えています。
東横インは「駅前旅館・鉄筋版」をコンセプトに、家庭的な親しみやすさを売りに全国に展開されているビジネスホテルです。支配人をはじめとして女性を活用することでも有名で、講演や本なども出版されています。私も、女性社員を多く抱える身として、雑誌の記事を読んだり講演の CD を聴いたことがあります。
このほかにも、ライブドア堀江社長逮捕の陰に隠れて目立ちませんでしたが、ヤマハ発動機が無人ヘリコプターを中国に不正輸出していた事件もありました。いずれも司法による真相解明を待たなければ断じられませんが、伝えられる状況からはその企業のモラルを疑わざるを得ません。
コンプライアンスという言葉を最近しきりに耳にします。企業は営利を求めることが目的ではあるが、同時に社会の一員として法令を守らなければならない、というものです。要は、悪いことしちゃいけないよってことで、人間であれば物心ついた幼いときから言い聞かされたことです。逆に親となれば、自分の子供に当然のごとく諭していることではないでしょうか。
私は価値観の古い人間なのかもしれませんが、「勝てばいい」「売上を上げるためには何でもあり」というような感覚にはどうしてもなじめません。企業である以上、利益を確保して会社を維持する責任(ゴーイングコンサーン)があることは自覚しているつもりです。しかし、やましいことをしたくないという思いはそれ以上に強くあります。人間としても企業としても、本当の強さは、誰にも後ろめたさを感じることのない「潔さ」にあるのではないでしょうか。
私のこうした感覚が何に起因するのかと思い起こすと、子供の頃の父親の厳しいしつけにありました。鹿児島県人である父は西郷隆盛をこよなく尊敬し、卑怯なことをするな、金に執着するな、といったことを焼酎を飲みながら毎晩のように子供に語っていました。
コンプライアンスは、親が子供に示すがごとく、企業がそのステークホルダー(社員、顧客、取引先など)に示す「潔さ」だと思います。