株式会社シーブレイン > 馬車道の社長日記 > 圧倒的な強者が支えるネット民主主義

圧倒的な強者が支えるネット民主主義

今週(2006年9月25日号)の日経ビジネスの特集はGoogleだった。題して「グーグルはなぜタダなのか 地球を覆うネット民主主義」。

Googleが従来の企業とどこが違うのか、なぜこれほどまでに急速に拡大しているのか。Googleという企業の特異性はもちろんあるが、インターネットの普及によりユーザー(ネット市民?)の価値観や行動原理が大きく変化してきたことが背景にあることが書かれている。これを読むと、あれほど強大だったマイクロソフトが時代に乗り遅れた色あせた企業に見える。

記事の主旨は、これまでは国家は知られたくない情報を隠すことができ、それが権力を維持することにつながった。しかし、インターネットの普及により人々は世界中のどこからでも情報を検索できるようになり、国家の枠を超えた世界民主主義が実現しようとしている、ということだ。
これは日経ビジネスの記事を読むより、Podcast(編集長の終わらない話 2.0)を聞いた方がよーくわかる。編集長がものすごく興奮して自説を展開しているから。

ただ、気になった点が一つ。知られていることだが、Googleは中国においては当局に都合の悪い情報はヒットしないようにしている。このことは記事の中でも触れられていて、Googleのコメントとして「中国ではシェアを取ることが最優先。それに、英語のGoogleで検索すればすべての情報を検索することはできる。」とある。

これはどうなのか。少なくともGoogleは中国語サイトで情報操作をしていることを認めている。中国語サイトでやっていることを、レベルは違うかもしれないが、他の国でやっていないと言い切れるのか。現在やっていないとしても、今後やらないと言えるのか。もちろんGoogleだけが検索エンジンではないが、圧倒的なシェアを持っていることは確かだ。ネット民主主義とか世界民主主義とか喝采される舞台の入り口が、単なる一企業が用意したものだという事実は忘れてはいけない。

Googleを貶めるつもりは毛頭ない。ただ、重要なのはインフラとしてのインターネットの健全な普及である。そのためにはやはり競争が必要ではないか。対等に競い合える存在があってこそ、Googleもよりすばらしいサービスを提供し続けてくれるのはないかと思う。現在、世界中でもっとも魅力的な企業であることは間違いないのだから。


Webサイト制作、IT翻訳、マニュアル制作なら
株式会社シーブレイン(横浜)にご相談ください。