2007年11月19日
技術の進歩と好奇心の退化
少し前の日経ビジネスに、IIJ社長鈴木浩一氏の話が載っていた。以下に一部を引用する。
IT(情報技術)業界は、若者よりおじさんたちの方がラジカル(革新的)です。IT第1世代のおじさんたちが大学生の頃、学校にはネットワークも何もありませんでした。何もないから自分たちで作ってきた。
鈴木社長とは時代も次元も違うが、この話を読んで私はこの会社を始めた1995年の頃を思い出した。
会社を創立したのが1995年5月1日。狭い事務所に私と専務しかいなかった。PCはそれぞれ自分のものを持ち寄って、私がDELLのノートPC、専務はGATEWAYのタワー型デスクトップPCだった。
1995年と言えばWindows95がリリースされた年だが、それは11月のことなので当初はWindows3.1だった。インターネットはもちろん、社内LANもなかった。隣のPCとデータのやり取りをするにも、フロッピー・ディスクを使っていたような頃だ。
専務は前の会社にいた頃からPCを使っていたが、ハードウェアの設定などは詳しくない。私はと言えば、それまでワープロ専用機(富士通OASYS)しか使ったことがない本当のど素人だった。しかし、身近に頼れる人間はいなかったので、ひたすら本を頼りに試行錯誤しながら自分たちで環境を作っていった。
面倒なこと、途方に暮れるようなこともあったが、一方でおもしろさも感じていた。懐かしく思い出される人もいるかと思うが、Windows3.1の頃は「config.sys」や「autoexec.bat」という設定ファイルを直接エディタで編集していた。編集しては再起動を繰り返す。何回やってもうまく行かなくて、挙げ句に訳がわからなりOSから入れ直す。そんなことを繰り返すうちに徐々に知識が付いてきて、自分でできることが増えていった。それが楽しかったのだ。
私などはしょせん素人に毛が生えたレベルだが、当時は仕事を超えて寝食を忘れてパソコンをいじっている(髪の毛がはねてちょっとにおいのするような。。)そんなヤツが居たものだった。ハードもソフトも不完全で個々人の知識や技術に依存する部分が大きかったからこそ、そういう人たちはのめり込んでいったのだろう。
最近はそんな見るからにコンピュータが好きという人が少なくなったような気がする。技術の進歩によるブラックボックス化が影響しているのではないか。インターネットに接続したり周辺機器を増設するのも、OSやセットアップツールの言うとおりにやればたいていのことはできる。逆に手動でやろうとするとおかしくなってしまう。また、会社ではネットワークに接続されサーバに監視されている。勝手なことはできない。
このように、技術が進歩したことによって「いじる」楽しみが減ったことが、コンピュータに対する好奇心を退化させているように思う(ここでいうコンピュータとは、ハードウェア、OS、ミドルウェアといったインフラレベルのこと)。
なぜこんな話をするかというと、今シーブレインではシステム管理者を募集している。なかなか思うように応募がない現状に、ふと昔のことを思い出したのだ。システム管理者というと仰々しいが、資格や経験を重視しているわけではない。もっとも期待するのは、「コンピュータ」に対する強い好奇心だ。仕事だからやる、のではなく自分自分がおもしろいからやる。そんな人がどこかに埋もれているのではないかと期待しているのだが。
今シーブレインのシステム管理者になると、もれなく自社開発プロジェクト(G10 Readerなど)にも参加できる。いろいろなことを経験して確実に力を付けることができるチャンスだ。我こそはと思う人はぜひお問合せを。