2008年2月19日
東芝、HD-DVDから撤退
東芝がHD-DVDから撤退することを正式に発表した。
年明け早々にワーナー・ブラザーズが「ブルーレイ・ディスク(BD)」に一本化することを発表したことで、一気に情勢が変わったようだ。
ユーザーにとっては早期の一本化は好ましいものだろう。複数の規格が並存することはむずかしい。いつかはどちらかに一本化されていく。そのとき、負ける側の製品を使っていたユーザーは不利益をこうむる。
HD-DVDの規格争いで必ず引き合いに出されたるは、ビデオのVHSとベータの争いだ。あれは双方ともかなり普及してからの決着だったので、影響を受けたユーザーも多かった。その分みんなの記憶に強く残ることになった。勝ち馬に乗らなければならない、と。
今回の撤退によって東芝の損失は数百億円に上るらしい。継続すれば損失は拡大するばかり、さらにユーザーにも混乱を招くことになる。早期に撤退することが現時点での最上の結論ということは、だれにでも判断できるかもしれない。しかし、それを決断するのは簡単ではない。
撤退の決断を下すことが指揮官にとってはいちばん難しいという。判断はできても決断ができない。東芝の西田社長は一昨年に米原子力大手「ウェスチングハウス(WH)」を54億ドル(当時のレートで約6210億円)で買収してその決断力が注目されたが、今回の決断も思い切りの良さを感じる。
社長は大なり小なりいつも決断を迫られる立場にある。その決断が正しいかどうかは、そのときはもちろん後になってもわからないことがある。決めた以上、信じて進むだけだ。しかし、進む中でおかしいと感じたときに先の決断を撤回する勇気があるか。推し進める熱い意志と撤回をも否定しない冷静な判断、そのバランスがむずかしい。
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