2014年6月18日
iPadは仕事で使えるか?(2/3)
日本では2010年5月に第1世代iPadが発売され、以降次のように続きます(いずれも日本での発売時期です)。
2011年 4月 第2世代iPad発売(iPad2)
2012年 3月 第3世代iPad発売(新しいiPad)
2012年10月 第4世代iPadおよび第1世代iPad miniを発売
シーブレインでもiPadを実際使ってみて可能性を検証するために、第1世代と第2世代のiPadを買いました。私も客先に提案のために持参したことがありますが、ちょっとしたプレゼン資料やデモもiPadを直接お客様に触って見ていただくことができ、物珍しさもあり好評でした。
当時iPadをどうやってビジネスに活かそうかと考えたときに、最も期待したのが電子書籍でした。シーブレインは事業の一つとしてマニュアル制作をやっており、PDFやHTMLによる電子マニュアルやオンラインマニュアルの実績があります。また、少し前に大手のアパレルメーカーから「ショップの店員向けのマニュアルを一新したい」という案件が持ち込まれたのもヒントになっていました。デスクワークで使うマニュアルなら紙やPCで見られれば問題ありませんが、ショップや工場、外回りの営業などは持ち運んだりすぐに見たいというときに使い勝手がよくありません。最初はそういった課題を解決してくれるのはスマートフォンではないかと思ったのです。しかし、試作品も作ってみたのですが、スマートフォンだと画面が小さすぎて限界がありました。
iPadならそのスマートフォンの限界をクリアしてくれます。画面の大きさ的にはA4サイズの情報量でも十分に視認できます。閲覧するだけのマニュアルならiPadの弱点である入力操作も必要ありません。実際、全日空が1,000ページに及ぶ乗務マニュアルをiPadに移行したというニュースも話題になりました。この事例にはバラ色の世界が描かれています。データの一元管理、携帯性、起動の速さ、音声や動画の活用などマニュアル端末としての利便性はもちろんのこと、メッセージ機能や録音・録画機能を使った報告・情報共有までまさにiPadの特性が業務で十分に活かされています。これなら他の会社でも続々とマニュアルの電子書籍化が進むだろうと期待しました。
しかし、残念ながら思うほどその後の展開は進まなかったようです。詳しく調べたわけではありませんが、考えられる原因はやはりコストではないかと思います。端末自体の価格、コンテンツを制作する初期費用、さらに導入教育などの費用はかなりの額になるでしょう。それを回収して余りある費用対効果が得られるのは、一部の大企業に限定されるということではないでしょうか。そういう外部の状況に加えて、シーブレインの中ではマニュアルの電子書籍化に投資するリソースが不足しており、結局ビジネスとして実績を上げるまでには至りませんでした。
世の中にiPadを活用できるビジネスシーンがあることはわかりました。しかし、私自身がiPadを買って仕事に使おうという気になったかというとそうはなりません。あれば便利なときはあるがPCに置き換えるのは無理、というのが私の変わらない評価でした。持ち歩く仕事道具はできるだけ最小限でかつ多くの用途に使えるもの、それもいつも同じものにしたいものです。iPadはその唯一の道具にはなりそうもありません。
それなのになぜか...去年の秋、私の手元にiPad Airがありました。私も予想外でした。
2013年11月、iPad AirとiPad mini Retinaディスプレイモデルが発売されます。従来モデルに比べて30%軽量化したAirと小さいサイズに高解像度を実装した新しいmini。いずれも正常進化を果たした魅力的な端末です。何に使うとか理屈は置いといて、ハードウェアの魅力を確かめたくて近くのauショップに行ってみました。
この後のくだりは言い訳めいているのでぐだぐだと書きませんが、口走ったのです。「在庫はありますか?」と。予約でいっぱいという噂を聞いていたのであるはずはないと高をくくっていたのですが、「ありますよ。」という答え。そうなっては引っ込みがつかず...
一つだけ言えるのは、人を動かすのは理屈ではなく感情だということです。それが一瞬のものであったとしても。
次回に続きます(前フリに2/3も使ってしまった)。