2014年6月14日
iPadは仕事で使えるか?(1/3)
2010年にAppleがiPadを発表してから4年。タブレット端末というカテゴリーは飛躍的に市場が拡大しました。2013年はパソコン1,120万台に対してタブレット端末680万台、2016年にはパソコンの900万台に対し、タブレットが1030万台と市場が逆転するという予想もあります。(出展:マイナビニュース)
これほど短期間に普及したタブレット端末ですが、私は初めてiPadが発表されてからずっと食指が動かずにいました。
余談ですが、私はスティーブ・ジョブスの信奉者で、ボンダイブルーのiMacを購入して以来アップル製品に魅力を感じて、自宅ではMacBookやMacBook AirといったノートPCを数代にわたって買い替え続け、iPodやiPhoneも自分自身だけでなく妻と息子にも持たせてきました。Apple製品の魅力はシンプルさにあります。それは無駄な装飾を一切排除した外観のデザインのみならず、直感的に操作できることを追求したハードウェアとソフトウェアの設計思想に現れています。昨年もう少し自分の世界を広げようとiPhoneをAndroidに変更したのですが、使いにくさに閉口して1年も経たずにiPhoneに戻しました。端末単体の使い勝手だけではなく、MacBookやiTunesまで併せた「Appleのエコシステム」の居心地の良さを失った不便さが大きかったからです。
iPadの話に戻します。私がiPadにあまり興味が持てなかったのは、単純にこれを何に使うかイメージできなかったからです。改めてiPadの特徴を整理しましょう。
- 起動が早い
- キーボードがない
- 直感的に画面を直接タッチして操作する
- パソコンのように画面が大きい
- インターネットに簡単にアクセスできる(特にセルラーモデル)
- バッテリーだけで長時間動作する
思いつくままざっと6点挙げましたが、この中で2番と4番がポイントです。
まずキーボードがないということは、入力作業が必須であるほとんどの仕事では使えません。見る(見せる)だけで済む仕事は限られています。詳しくは次回説明しますが、iPadのソフトウェアキーボードでの入力は非常にストレスがかかります。スマートフォンのフリック入力の方がよほどマシです。
次にパソコンのように画面が大きいということは、ポケットには入らないということです。つまり簡単に取り出して使うことができません。メールを確認する、電車の経路を調べる、ニュースをチェックするなどといったことを、いちいちカバンから取り出して行うことは甚だ不便です。
スティーブ・ジョブスはiPadを最初に発表した時に"ノートPCとスマートフォンの間を狙った製品"と紹介しましたが、この2つのポイントにより私にはどっちつかずの中途半端な端末に思えました。
では、iPadは使い道がない端末かというと決してそんなことはありません。上述の6点の特徴からiPadがどういうシーンに適しているかを考えてみます。重要なポイントは3番と4番です。
キーボードを必要とせず直感的に操作できるということは、キーボード入力という少し習得に時間のかかるリテラシーがなくても大丈夫ということです。ITを利用する上でキーボードが大きなハードルであることは否めません。それがなくなるということは一気に利用者の裾野を広げます。
もう一つの画面が大きいというポイントも利用者の裾野を広げる上で重要です。キーボード入力が不要でもスマートフォンのように画面が小さいと使いにくいという人は多いでしょう。
この2つのポイントから浮かび上がってくるiPadに適した利用者とは、今までITに近寄りにくかった人たち、特に子どもとお年寄りではないでしょうか。
ターゲットとして最も期待できるのは教育現場だと思います。iPadなら小さな子どもでも十分に操作できます。つまり幼稚園以上がターゲットになるわけですから、ものすごい数のユーザーがいることになります。iPadを使うメリットは、テキストや静止画だけでなく音声や動画を使ったリッチコンテンツを教材として活用できること、ネットワーク化により教材の一元管理、進捗状況の管理、さらに教師と生徒または生徒同士のコミュニケーションをサポートできることです。
片方のターゲットであるシニア層にとってiPadを利用するメリットは何でしょう。子どもや孫と離れて暮らしているお年寄りにとって、お互いの顔を見ながら話ができる、写真や動画をリアルタイムで共有できるなどiPadは今まで以上に親密なコミュニケーションを取れるツールです。また、文字の大きさを簡単に調整できるiPadは紙の新聞や雑誌よりもシニアに適した端末だと思います。質が高く有意義と認めるコンテンツであれば、有料であっても経済的に余裕のある人の多いシニア層は利用するのではないでしょうか。
ということで、iPadの可能性が大きいのは十分に想像できるのですが、仕事で活用できるシーンは限定されるのではないかというのが私の考えでした。そんな私が昨年の秋にiPad Airを購入します。なぜ? 次回に続きます。