2014年10月20日
コーチング(3/3)
※この記事は「コーチング・バイブル(第3版)」から引用していることを最初にお断りいたします。
前回に引き続き、上のコーアクティブ・モデルの中にある要素について説明します。
5つの資質
コーチングをコーチングたらしめるもっとも基本的な要素。これらの資質を十分に発揮することでクライアントの人生を照らし出すことができる、とのこと。
傾聴
コーチングにおいてもっとも重要なのは深いレベルで聴くこと。クライアントが発する言葉だけでなく、背後にある意味や底にある流れ、全体を覆うテーマなどに耳を澄ますことも求められる。
コーチは同時に様々なレベルで話を聴きながら、現在クライアントがどれくらい充実し、どこでバランスを失い、あるいはどのようなプロセスを経験しているのかを確認します。要するに、コーチはクライアントの「声なき声」をも聴き取り、それをコーチングの中で活かすのです。
直感
クライアントから受け取る多くの情報、コーチとしても自分の経験や人生経験、それに直感から得た情報も加えてコーチングは進めなければならない。
直感と呼ぶのが憚られるのであれば、勘とかひらめきと呼んでも構いません。大事なことは、理屈を超えた情報にも門戸を開くことです。クライアントとともに未知の世界に足を踏み入れようとする時、そこにはつねに裏づけのある確固とした情報がそろっているとは限りません。そのような時、直感は大きな力になり得るのです。
好奇心
コーチの役割は、問いを投げかけることでクライアントを自己発見の旅にいざなっていくこと。ここで必要なのは「好奇心」。
好奇心とは、先の先入観や固定観念を持たずに、遊び心をもってのびやかに新たな世界を探求していく姿勢であり、・・・・・・コーチもクライアント、およびクライアントの人生に飽くなき好奇心を向けることで、これまで見えなかったクライアントの内なる世界が見えるようになるのです。
行動と学習
コーチとクライアントの協働作業の結果として生み出されるのは「行動と学習」。行動と学習という2つの力が合わさって、初めてクライアントの人生に変化が起きる。
学習は、単に行動の産物として生み出されるものではなく、行動と同等の価値を持ち、行動を補完するものでもあります。学習が深まることによって、クライアントの中にそれまでなかったような新しい発想が芽生え、自らの可能性を広げたり、変化を起こすための強い意志などが見えてくるのです。
自己管理
クライアントの主題にそって話を進めるためには、コーチはクライアントの邪魔をしないこと。コーチ自身の考え、好み、プライドなどを持ってコーチングに望むと、主題がクライアントから離れてしまう。
自己管理とは、コーチが自分の中で起きていることにとらわれず、クライアントの中で何が起きているかということに意識を向けることを言います。
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自己管理とは、別の言い方をすると、自分が相手にどのようなインパクトを与えているかについて、つねに意識する力でもあります。
感想
3回にわたって「コーチング・バイブル(第3版)」を紹介してきました。本書がとなえる「コーアクティブ・コーチング」の全体を理解していただくために第Ⅰ部第1章に記載されている概要しか紹介しなかったのでピンとこないかと思います。本書の第Ⅱ部と第Ⅲ部には具体例も混じえて実践方法が説明されているので、興味のある方はお読みになってみてください。日常の行動において参考になることが書かれています。そちらは第Ⅰ部よりずっと読みやすいです。ただ、「コーアクティブ・コーチング」の本質はこのブログで紹介した中にあります。「コーアクティブ・コーチング」と他のコーチングとの違いはクライアントに向かい合うコーチの姿勢(心構え、覚悟)にあるようです。つまり、クライアントが持ち込む個々の問題を対象とするのではなく、クライアントの人生そのものを対象として変化を与えようという姿勢です。第Ⅰ部第1章の最後に書かれている一節を紹介します。
・・・・・・コーチが強い決意と高い目的意識を持ってコーチングに臨むことで、クライアントの人生に本質的な変化をもたらす環境が整います。そして、あるクライアントの人生に起きた変化は、まるで波紋のように周りに広がり、家族や組織はもちろんのこと、いずれは世界全体へと広がっていくことでしょう。
この言葉に共感できる人は他のコーチングでは物足りず「コーアクティブ・コーチング」にはまることでできるでしょう。そうでなければ、他のコーチングの方法を探した方がいいと思います。私は入門書から読み直してみます。