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説明責任

一昨日ワタミが介護事業を売却するというニュースがありました。

ここ3年ほどのワタミの凋落は著しいです。発端は従業員が長時間労働の末に自殺したという事件だったと思います。これが2012年に労災認定されてからワタミに対するブラック企業批判がたちまち拡がりました。

ワタミ創業者の渡邉美樹氏はかってカリスマ経営者ともてはやされた人です。子供の頃父親の会社が倒産するというつらい経験をしたのを機に「社長になる」という夢を定め、その実現のための計画を立て、その計画に沿って会社を発展させ上場まで果たし、飲食業界において日本で有数の企業に育て上げました。その半生は小説にもなっています。自分の成功体験を元に「夢に日付を」というコンセプトで作った手帳も大変ヒットしました。かくいう私も3年ほど使ってましたから。5年ほど前まで今のワタミの苦境を誰が想像できたでしょうか。

私はワタミという会社の実態を知らないので、長時間勤務やサービス残業などどこまで本当なのかわかりません。ただ、事件後に断片的に知る渡邉美樹氏やワタミ社内の人の発言には、社員の自殺に対して真摯に向き合っているという印象は受けません。

ワタミの凋落はブラック企業と非難されたことだけが原因ではないでしょうが、大きな一因だったのは確かでしょう。客が遠のき社員を募集しても集まらなくなったのは企業にとって痛手ですから。もっとちがう対応の仕方はなかったのでしょうか。

問題が発生したときにどのように対応すべきか。企業におけるコンプライアンス経営の実践では「説明責任」を果たすことが重要な条件と言われます。ワタミの場合も事件が起きたときにステークホルダーに対してきちんと説明をしていれば、状況はちがうものになっていたかもしれません。

しかし、責任者が説明責任を果たすのは当たり前の思うのですが、最近の五輪エンブレムや東芝の問題などを見ていてもなかなかむずかしいことのようです。組織が大きくなると外向きの意識が鈍感になり、内向きの思考が優先されるのかもしれません。

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