2011年3月21日
東日本大震災から10日を経て
東日本を襲った大震災からちょうど10日が経ちました。
日を追って増していく震災で亡くなられた方々に深くお悔やみを申し上げるとともに、避難所で大変厳しい生活を余儀なくされている被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
地震の被害に加えて原発の危機、ガソリン不足、買い占めなど、地震発生から連鎖的に起こる混乱に多くの人が不安な日々を送ってきました。そんな不安をあおるような無責任な報道や風評もありました。特に、テレビ局や新聞の全国紙が科学的な根拠も不確かなままにネガティブな情報を流し不安を助長したことに、強い憤りも感じています。しかし、そういった不安もようやく落ち着き始めてきたのではないでしょうか。
原発は未だ予断を許さぬ状況は続いていますが、放水や電源の復旧により沈静化の期待が持てるようになりました。首都圏のガソリンスタンドはまだ閉店している店も多いですが、利用者の反応は徐々に落ち着いてきたようだとスタンドの人は話していました。店頭に不足している商品も、物流が平常に戻れば今週中には手に入るようになるでしょう。
そして何よりも、被災地で震災から1週間や10日近く経ってから救出される人が見つかったり、また厳しい避難生活を強いられている被災者の方も再起するために力強く行動を始められています。自然の脅威に圧倒されながらも、決してくじけない人間の生命力や意志の強さを証明されているのです。
悲惨な状況は現実として、目を背けずに救助や支援をしなければなりません。しかし、それだけに心を奪われると希望を見失って前に進むことができなくなります。奇跡的に救助された人や避難所で力を合わせて生活されている方々を見ていると、どんな過酷な状況でも希望と勇気を忘れてはいけないということを改めて思い知らされます。
被災された方々に比べれば、我々には住む家はもちろん暖を取る燃料も日々食べる食料もあります。多少の停電や物不足がどれほど深刻な問題でしょう。
大きな被害を受けなかった我々が心がけたいことを、僭越ながら書き連ねてみます。
- できる範囲で被災者の皆様に援助する(楽天やTSUTAYAのポイントなど身近な所から援助することができます)。
- 必要以上に商品を買い込んだり、資源(電気、ガソリン、水道など)を浪費しない。
- 特に不便な状況でなければ、被災地以外に送る宅配便などは控えて物流の負荷を軽減する。
- 過剰に自粛しない。今までと同じように、食べる、飲む、歌う、観る、笑うことが経済活動を活性化して、結果的に復興に貢献します。
- マスコミや風評に一喜一憂せず、できるだけ正しい情報を得て冷静な行動を取る。
- 誰かを批判しない。未曾有の天災の中で、政府を含めみんなが試行錯誤しています。その一つ一つがうまくいかないからと批判しても何も解決しません。誰かを批判する前に行動しましょう。何をしていいかわからない人は、目先の自分の仕事に専念しましょう。
最後に、村上龍がThe New York Timesに寄稿した「危機的状況の中の希望」という文の一節を紹介します。
避難所では食料、水、薬品不足が深刻化している。東京も物や電力が不足している。生活そのものが脅かされており、政府や電力会社は対応が遅れている。だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。