2011年10月27日
Japan IT Week 2011の講演に思う
昨日のことですが、幕張メッセで開催されたJapan IT Week 2011秋というイベントに行ってきました。基調講演とWeb &モバイルマーケティングEXPOが目的です。
基調講演の内容は以下のとおりです。(詳細はこちら)
「融合新産業」の創出に向けて
~スマートコンバージェンスの下でのシステム型ビジネス展開~
経済産業省
商務情報政策局 情報経済課長
佐脇 紀代志
「スマート」な社会の実現に向けてITができること
日本アイ・ビー・エム(株)
執行役員 スマーター・シティー 技術戦略担当
岩野 和生
未来都市実現へのメッセージ『Be Smart』
日本電信電話(株)
理事 チーフプロデューサー 環境・エネルギー担当
宮崎 達三 MBA
(敬称略)
いずれも“スマート”という言葉がタイトルに入っていますが、要はITネットワークが張り巡らされ、あらゆるモノとヒトがつながる未来社会への提言ということです。
特に、今年は東日本大震災とそれに起因する電力不足があったことで、平時だけでなく非常時も意識したITの役割と意義ということが印象的でした。被災地復興という大規模なプロジェクトをきっかけに、インフラを大胆に再構築しようというものです。
また、大震災以前からある日本の構造的な問題(少子高齢化、産業競争力の低下、イノベーションが生まれにくい環境など)を打破するために、失敗を恐れずに大胆で自由かつ柔軟な発想が不可欠という趣旨にも同感しました。
日本は、ブロードバンドネットワークとあふれんばかりの端末の普及というインフラの充実ぶり、さらにそれを使う国民のリテラシーの高さでは世界の最先端だと思います。それなのに、国としての成長率は頭打ちで、日本発のイノベーションというのは最近ほとんどありません。
失われた20年といわれますが、暗く重い雲に常に頭上を覆われて、みんなでうつむき加減で坂道を登っているような状態が続いています。誰もが自信と未来への希望を失っているようです。
今はまさに社会のパラダイムが大きく転換しようとしています。
世界中とつながるインターネットを基盤として、タダまたは非常に安価で利用できるクラウドサービス、誰もがどこからでもアクセスできる携帯端末の普及、フラットな関係でいつでも気軽にコミュニケーションできるソーシャルネットワーク。これらが今までの概念を突き動かしてまったく新しい可能性が広がっています。
こんな「ワクワクする」状況にうつむいていてはいけません。積極的に取り組んで頭上を覆っている雲を吹き飛ばしましょう。
最初に講演された経済産業省の佐脇さんの資料の最後にこう書かれています。
各社、各人は、既成概念から脱却して、自由な思考、試行に「遊ぶ」という「リスク」を取り、再起動後の成長へ。
ちょっとわかりにくい文章ですが、「遊ぶ」という「リスク」とは失敗を恐れない気持ちということでしょう。
先日亡くなったSteve Jobsも言っています。
「失敗を覚悟で挑み続ける、それがアーティストだ。ディランやピカソは常に失敗を恐れなかった」
そして、最近私が気に入っていることばがあります。
“悲観は感情から生まれるものだが、楽観は意思で生み出すものである”
東日本大震災という非常に悲しい出来事があった年だからこそあえて思います。
成り行きに流されてばかりでは気が滅入るだけです。
誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、自分の力で状況を切り開いていくという意思が必要です。
そしてそれを、悲壮感をまとってやるのではなく前向きに楽しもうとする「遊ぶ」の気持ちを忘れずに。
などと、ITに関する講演を聴きながら思っていました。