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五輪エンブレム問題に見るネット民の功罪

昨日に続き五輪エンブレム絡みの話です。

佐野氏を五輪エンブレムを取下げざるを得ない状況まで追い込んだのは、"ネット民"と呼ばれる人たちによるものです。ベルギーにあるリエージュ劇場のロゴに似てると騒ぎ出したのが発端でした。それからネット民たちは、佐野氏の事務所が関わった過去の実績をよってたかってGoogle画像検索にかけて、似たようなデザインが見つかれば鬼の首を取ったかのごとく2ちゃんねるで晒していきました。

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取り下げられた2020東京五輪エンブレム

いろいろ模倣とかパクリと指摘された中で、サントリーのトートバッグデザインのトレースと五輪エンブレムの展示例の写真を無断転用したことを本人が認めたことにより、五輪エンブレムも取り下げに至ったわけです。五輪エンブレム自体が模倣だったのか真相はわかりませんが、ここまで国民から支持を得られなくなったものをこれ以上使うのは無理だったので、取り下げという結果に対してはネット民の功績なのかもしれません。決断すべき当事者たちはグズグズと結論を先延ばしにしてきたわけですから。

しかし、とても大切なことを認識しなければなりません。五輪エンブレムに関して言えば佐野氏は模倣を否定しています。そして誰も模倣したという証拠を示したわけではありません。裁判所が客観的に審判したわけでもありません。五輪エンブレムに関しては佐野氏が罪を犯したという証明はされていないです。が、今の状況は完全に佐野氏が罪を犯したと決めつけています。一昨日佐野氏が発表したコメントの一部です。

また、私個人の会社のメールアドレスがネット上で話題にされ、様々なオンラインアカウントに無断で登録され、毎日、誹謗中傷のメールが送られ、記憶にないショッピングサイトやSNSから入会確認のメールが届きます。自分のみならず、家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどのプライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。 

これが本当なら犯罪です。 正義とはまったく反対の行動です。五輪エンブレムを取り下げた後も、ネット上では佐野氏を追い詰める声が止みません。むしろ勢いを増しているようです。これは明らかに言葉による私刑であり、ネット民の愚かで醜い罪です。本人たちが正義だと思っているだけよけいに質が悪い。リアルの世界でもこういうことは起こってきましたが、ネットならではの「匿名性」と「拡散性」が暴走を勢いづけています。

この状況に対して効果的な対策はありません。攻撃された人は防御する術はなく、もし後で無罪だったとわかっても誰も謝罪も償いもしてくれません。それがどれほど恐ろしいことなのかを理解すべきです。仮に自分が逆の立場になったときのことを想像すべきです。それぞれの理性しか歯止めできるものはないのですから。

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